TAIJI at THE BONNET

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第6回 佐藤タイジ×武藤昭平

6回 佐藤タイジが、自身のバンド=TAIJI at THE BONNETのメンバー他、様々なアーティストと対談を行っているこの連載コーナー。

 

6回目は、勝手にしやがれ/武藤昭平withウエノコウジの 武藤昭平との対談。

男義溢れる二人=佐藤タイジと武藤昭平が熱くそして爆笑連発のトークを展開!

 

 

タイジさんと武藤さん、アウトプットされる音楽は極端な言い方をすれば、正反対なような気もします。それは音楽に限らず見た目も。オラオラ感のあるタイジさん。クールな感じの武藤さん。このイメージ、間違ってはいないと思うんですが。そんな二人の出逢いはどんなだったんですか?

タイジ「初めて会ったのはいつやったっけ?ハッキリ覚えてないけど、ウエノ君(ウエノコウジ)がいて、武藤との距離が近くなったよね」

武藤「そうですね。ウエノ君がいてグッと近くなりましたね。とは言え、以前からシアターブルックのことは知っていたし

タイジ「勝手にしやがれってデビュー何年やったっけ?」

武藤「今年で活動を始めて15周年なんです。インディーでやっていて、メジャーに行った最初がエピックでした」

タイジ「勝手がエピックに来た時、俺、エピックにおった?」

武藤「もういなかったです(笑)」

タイジ「あっ、いなくなった辺りやね(笑)」

武藤「エピックに行ったのが2004年からなんです」

タイジ「あぁ、俺らがエピックをサイナラしたぐらいだ(笑)」

武藤「これからエピックにお世話になるってことでエピックの方たちと話をするたびに、タイジさんの話を耳にしました。もちろん、シアターの音楽自体、それ以前から僕ら聴いてたんですけど」

 

その頃、シアターと勝手で対バンとかありました?

武藤「そういうのはなかったなぁ。でもフェスで一緒だったりしましたよね?」

タイジ「そやね。フェスはあるけど、イベントで一緒になったことなかったよね。武藤・ウエノと佐藤タイジという、そういうアングラ化した段階では一緒に演奏したりしてたけど(笑)。そういうアルコールが取り持つ状況では、よう一緒にはなるけれど。っていうか、武藤君、もの凄く呑むからね。呑みながらよく演奏できるよなぁ

武藤「っていうか、武藤昭平withウエノコウジの場合は呑んでる方がいいんです、芸風的に(笑)。でも勝手にしやがれの場合は、ドラムを叩きながら歌うんで、呑んで、叩いて、歌うっていうのは、結構ムリです。武藤・ウエノは座ってギターと歌なので、呑みながらの方がテンションもあがるし、お客さん的にもいいみたい。演奏する場所も、敷居の高いところじゃなくて、お客さんと同じ高さのフラットなところでやることが多いんで。そういうのって、呑んだぐらいの方がテンション的にいいみたいです」

タイジ「でも酒呑んで歌えるのって凄いよ。俺、酒呑むと喉がしまってくるんよ。何でやろ? 酒呑むと喉しまって歌いにくくなる。声かすれて歌いにくくなる。俺、呑んだらアカンって。歌に関してはそう思っとる」

 

意外ですね。タイジさんはステージ前、完全にノンアルコールなんですか?

タイジ「うん。呑んだらアカン。だから武藤君を見てると、よう呑んでやってるなぁって」

武藤「俺は呑んだ方が喉がひらいて、だんだん絶好調になりますね(笑)」

 

じゃあ、勝手にしやがれも、ドラムがなければ、呑みながらやりたい?

武藤「もちろん!でもアル中じゃないですよ(笑)。だって、酒控えろ!って言われたら、しばらく呑まない時もある。でもライヴってお客さんとのコミュニケーションなので、楽器のプレイと共に、コミュニケーションを取る場合、しかも、武藤・ウエノの場合は、僕一人の時もあったりするんで、呑んだ方がやっぱりやりやすいなぁ」

 

そのあたりもタイジさんと武藤さん、真逆ですね。ところで、タイジさんから見て、ドラムを叩きながらボーカルを取るという行為は、どんな風に映ります?オーディエンスからは物凄く器用に映るんですが。

タイジ「うーん言うても、リボンヘルムもおるし、ドンヘンリーもおるしなぁ

武藤「まぁ楽器をしながら歌うっていうことで言えば、どんな楽器でも一緒ですよ。ドラムだから特別っていうことはないと思います。それより俺からしてみれば、タイジさんのギターが凄い!化け物です!!凄いですよ!!!」

タイジ「いいねぇ、武藤君。う~んと褒めて!俺、ギター弾きながらバスドラも踏んでるからね。でも褒められたから言うわけじゃないけど、武藤君の一人の時の曲、俺、大好きやし。循環コードだから、大体の曲、もう覚えてるし!一度泥酔して武藤・ウエノのステージに乱入したからね。もっとも武藤・ウエノも泥酔してたけど(笑)。武藤君、気を遣ってくれて空いてたドラムに移ってくれて、俺がギターを弾いた。まぁ、楽しかったね。しかし、スゲー泥酔してたなぁ」

武藤「いやぁ、あれ楽しかったですね。でも泥酔とかじゃなくて、タイジさんのあの陽気さ、ポジティブさと言うか、アグレッシブさと言うのが大好きなんです。タイジさん、テンション上がると〝もう関係ない!″って言って一人でお祭りになっていくんです。あれが大好きだし、憧れています」

 

わかります。僕もタイジさんのイベントにMCで出たことがあるんですが、タイジさんが出るだけで、一人フェスになってますから。ああいう日本人、ホントに少ないです。

タイジ「いいねぇ、もっと褒めてや!俺はね、武藤君が、脳みそがちゃんと整理されているところが好きなんですよ。どんな状況でもそれを把握し、きちんと整理している。そして自分の意見をちゃんと持っている。そこがスゲー気に入ってるのよ。それでなんかの現場の打ち上げで一緒に呑んでて、二人で行きついたアイデアが<グラミー・ジャパン>!」

 

グラミー・ジャパン?

タイジ「そう。武藤&タイジのセッションから生まれたアイデア。<グラミー・ジャパン>!!」

武藤「要は、俺達は好きな音楽をやっていて、それが世間の流行とズレていようが、世界が振り向こうが、そっぽを向こうが関係なしにそういう音楽が好きだって生きてきてるわけです。でも日本のシステムの中で、〝好き″だとか、俺達が自信を持って〝いいね!″って思えるものに対して、保険とか安定地が無い気がしていて。それに対してアメリカだと、グラミー賞があってその中にカントリー部門だったり、ジャズ部門があって、その部門の中で、公正に見て、それが売れていようがいまいが、〝今年はこれが素晴らしかった!″っていう評価がされる場所がある。それによって知らなかった人でも、それ買ってみようって、そういうキッカケというか、図式を作ってきてるわけです。でも日本にはそれがない」

タイジ「そうそう、そういう話をしたんだよ、二人で。で、日本にないなら、日本でそれをやっていかんと。日本でそれを作っていかんとって。そうしないと俺らがやっているような音楽、或いはそういうカルチャーって先細っていく一方だよ。アメリカはそういうのをちゃんとガードするようになっている」

武藤「ガードとも言えるし、ある程度保証してあげることで音楽の幅を広げつつも、ちゃんと継承するシステムを考えているんだと思うんです」

タイジ「そやね。でも日本にはそういう視点がないんだよ」

武藤「ないんです。日本は、〝これが流行ってます″っていうと、そこだけに一気に集中する。それで、〝いいものを作ってます″っていうところが過疎化してしまう。でも例えばチャートの上位に上がるものじゃなくても、いいものはいい。めっちゃいいじゃん!っていうのを注目して引き上げるチャンスは、日本は何処にあるんだろう?っていう

タイジ「日本はそのへんはホンマ手薄。っていうかないねん。そういうのが一個でもあったら、状況が変わるっていうところはあると思う。そういうシステムとフェスが連動する形が作れたら、って思うんだ」

武藤「音楽って訓練しないとできないじゃないですか。鍛錬してそれなりに勉強しないとできない。或いは最初から物凄い才能があるとか。いづれにせよ、人並み外れた何かを持っているから音楽という特殊なもので、人前でそれを聞かせて感動させることができる。それを商売だけで考えるべきじゃないと思うんです。そのバランスのいいところを、どうやって日本のシーンに作ろうかっていうのを考えたりしています。やっぱり俺が大好きなアーティスト、それは勿論タイジさんもそうだし、そういう人ってスゲー人なんです。そのスゲーって思ってる人が、皆にもスゲーって思われて欲しい。そういう人達が当たり前にその凄さで経済力も伴っていればいいなぁって思います。でも時々、なんでこの人が?っていう人がいたりするから(笑)。この人、運が良かったのかなぁって。でもそういうのって、同業者として悔しい感じがありますね」

タイジ「そういうのあるね。っていうか、そういうのやっぱオカシイんだよ。日本は優れたものを伝えていくインフラがない。自画自賛するわけじゃないけど、グラミー・ジャパンっていいと思うんだ。そういう優れたものを吸い上げ人々に伝えていく。イベントの打ち上げとかで、若いバンドのマネージャーとかにこのアイデア話すと、食いついてくるもん。そんな時、言ってるけんね。〝このアイデアは勝手にしやがれの武藤と二人で練ったものだ!″って」

武藤「恐縮です。このグラミー・ジャパンをやることによって、日本人で音楽をやっている人でスゲーという人を堂々と世界に誇っていけると思うんです。俺は小さい頃、色んな音楽を聴いてて一番多感な時に、ロックンロールにケツの穴をほじられて目覚めた訳です。ただ、どうしてもアメリカやイギリスと比べてコンプレックスがあった。それで日本人だけど絶対負けないセンスの音楽ってどこにあるんだろう?って探したりもしたし、段々自分でも作ってやろうってなっていった。でも絶対いるんですよ、日本人に!世界に誇れる人が!そういう人がいるのに、それを吸い上げるシステムがない。そのシステムが確立されていけば、俺はコンプレックスを抱いていた西洋の音楽や人種に対して、コンプレックスを持つ必要がなくなっていくと思うんです。堂々と〝日本人って凄い音楽作れる!″っていうのを世界に誇れる。そういうマーケティングっていうか、音楽性を持つ土壌になり得ると思うんです、日本は」

タイジ「そうなり得るね」

武藤「はい。だって日本人って工夫がスゲー上手い。アメリカ人の人って、まぁなんて言うか堅くな。例えば、俺がジャズ系のことやっている時、アメリカ人のジャズメン達と仲良くなって音楽の話をしていると、まぁ真っ直ぐなんです。スイングが流行ってるっていうことになると、昔のスイングを当時の楽器をちゃんと使って演奏するヤツラばかりになっちゃう。ギターフレーズひとつにしても、なんか違うことをやろうとすると、〝それじゃブルースになっちゃう。スイングはこっちのフレーズだ!″ってなる。まぁ、堅くなです。でも俺はそれを崩すのが面白いって思っちゃう。例えば、マイルスデイビスの『マイルストーン』っていう曲を向こうの連中の前で演奏したんだけど、俺はスケールを全く無視してパンクの発想でやるわけです。『マイルストーン』のあのスケールに対して、ドラムをバカスカ叩いて2ビートにした。俺はスケール理論を完全に無視。でもあの曲を作った当時のマイルスってそうだった。ジャズのガチガチだった頭を、こういう可能性もあるだろう?ってあの曲を作った。だから俺もその理論で、マイルスが作った型すらぶっ壊して自由にした。そういうことをやったらジャズメンの連中が興奮して〝Fucking Greatだ!って。<4ビート=ジャズのビートでそれにより芸術性が増す>って彼等は思っていたんだけど、それを覆すのがロックンローラーの発想。だから俺は2ビートでバカスカ叩いただけなんだけど(笑)」

タイジ「そういうフレキシビリティって日本人にある。というより日本人って寛容なんだよね。その寛容さが特色だと思う。その特色が3.11以降、より明確になってきたような気がする。だから日本の音楽、これからオモロイのが出てくるはずやし。若い連中にももっと自由なヤツが出てくると思うんだ」

武藤「そう思います。それと3.11以降ということで言えば、音を発することができることの俊敏さが重要になったと思うんです。バンドじゃなければ音は出せないとか、そういうのがダメになった気がする」

タイジ「まさにそうなんや。同じミュージシャンやけど、全然違うヤツもおるやん?その違いがハッキリして、それで3.11以降、武藤君と完全に仲良くなったよな。武藤が言う、俊敏さっていうのか、瞬発力が俺と武藤は似ている。で、気づけば一緒の現場も増えたしね。武藤のこと、理解できるし。しかも武藤がちゃんと自分の意見を持っているのも、凄く誇らしく思うし」

武藤「ありがとうございます。3.11の数日後、タイジさんからメールが来た。タイジさんのJ-WAVEの知り合いが急遽生放送で歌ってくれる人を探していてただ、タイジさんは生憎その時は四国に居て、番組には出れない。それで僕のところに連絡があった。〝武藤、出れへんか?″って。あれ、誘ってもらって凄く嬉しかったんです。〝俺の声で誰かが喜んでくれるなら何処にでも飛んでいきます!″ってタイジさんに即レスしたら、タイジさんからもすぐにメールがきて、〝ありがとう、ただ、その生放送、今日の夜中らしいよ!″って(笑)。〝全然イイッスよ!″って言って、出演させてもらいました」

タイジ「あん時はありがとね。俺、あれで、コイツはいける!って思った。それにしてもあの時、ラジオの現場もだいぶテンパッテたよな。でも何故かテレビより俺はラジオだったなぁ」

武藤「俺もラジオでした。テレビは震災直後だっていうのに、すでに情緒的に震災のこと振り返ってたりしてたんで。あれは違和感ありました」

タイジ「そやね。振り返ってる場合やないもん。これから何かをしなきゃいけないって時だったのに。っていうか今だってまだ何にも終わってないんだから」

武藤「本当にそう思います。俺はバンドのドラマーでありボーカルなんだけど、何故か自分一人でも何かの時にできるようにしておこうと思って、ギターを買って弾き語りもやってきてたんです」

タイジ「武藤、ギター、ウマなったよな!」

武藤「ありがとうございます。それで震災の後、タイジさんが下北沢でやっている、<LIVE FOR NIPPON>と言うイベントに呼んで頂いた。あれは凄い経験になりました」

タイジ「お前だけやないで。実は俺もそうで、俺、色々やってるけど、今、俺にとって一番大事なステージが<LIVE FOR NIPPON>なんや。届き方がなんか違うんだよね」

武藤「ライヴって要は<生>。それで一番、生々しいのがあのイベントなんです。あの生感が凄い。俺も急遽、ウエノ君と呼ばれて、本番直前に〝曲順どうする?みたいな。あっ、その前に、〝持ち時間何分ですか?からでした(笑)」

タイジ「で、俺は、適当によろしく!って」

武藤「仕方なく、とりあえずギターを抱えてステージに出て行って 〝じゃあ何しましょう?″って」

タイジ「で、俺また、適当によろしく!って」

武藤「そうでした。でもそのスリル感。予定調和じゃなく、ポンとやることが、さっき言った才能がある、或いは鍛えられたミュージシャンじゃなきゃできないはずで。そういう連中が底辺になって、日本自体がもっと盛り上がっていくべきだと思うんです」

タイジ「そう思う。だからグラミー・ジャパンでしょ!それやる時は、武藤と俺が、やぁのやぁの言うて、組織作りをするわけよ。で、フロントというか看板には、小林克也さんとピーターバラカンさんに出て頂く。でも中では武藤と俺!で、時々、ウエノコウジがちゃちゃを入れてくる、っていうか、ウエノコウジ、酒を呑む。そしてウエノコウジ モテる。あの男、ホンマ モテる。TAIJI at THE BONNETのツアーでもアイツだけモテた。モテモテ。嗚呼、段々腹立ってきた(笑)」

武藤「俺は逆にそれを利用しようと思ってます(笑)」

タイジ「そやな。完全にのっかろか!」

武藤「ウエノ君は謙遜気味に〝俺のファンってイカツイ男ばっかりですよって言うんだけど、実際女の子がキャーキャー言うわけですよ」

タイジ「しかも、ウエノ君、キャーキャー言われたいんだよね。この間もTAIJI at THE BONNETのライヴで客席の真ん中にスッゲー可愛い子がいて、やっぱりウエノファンだった。ウエノギャル!!」

 

でも奥野さんファンじゃなくてよかったじゃないですか(笑)!

タイジ「いや、むしろ奥野にはモテて欲しい。もうこれは親ごころやね。しかしモテるのはウエノばっか」

武藤「武藤ウエノで回るライヴ会場って小さいところなんです。だからお客さんの反応がダイレクト。ウエノ君は〝俺のファンはイカツイ男ばっか!″って言うけれど、会場では女子がウエノ君を見て〝キャ~!!!″。むしろ俺ですよ、ファンが男ばっかなのは(笑)。男がダミ声で「ムトウ~~!!!」って。しかも皆酔っ払い。〝武藤の歌で呑む酒はいいんだよね!″って曲の合間にも俺に話しかけてくる(笑)。ウエノ君、歌を歌うわけでもないのにモテる(笑)」

これ完全にウエノさん潰しですね(笑)!

タイジ「いやいや、とんでもない。完全にのっかりたいんです!!」

武藤「はい。ちょっとディスるような言い方をしてしまいましたが・・・

(背筋をピンと伸ばし)ウエノさん、これからもどうぞよろしくお願いいたします!!」

タイジ「どうぞよろしくお願いいたします!!」

(タイジ&武藤、二人ともインタビュー用のボイスレコーダーに向かって深々と頭を下げる)

 

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勝手にしやがれ15周年記念2枚組ベスト盤「シルバー&ゴールド~ゴールド 2004-2010」本日より発売!

2007年にライブ会場限定シングルとして発売したプレミアム音源《インスタント・セッションシ》3曲を特別に追加収録。
さらに!《未発表音源》を2曲収録した珠玉の名曲豪華36曲入り!完全リマスタリング盤!

◆勝手にしやがれ ベスト「シルバー&ゴールド~ゴールド 2004-2010」
◇発売日:2012年6月20日(水) 
◇品番:ESCL-3921,3922 
◇定価:¥3,990(税込)

詳しくは勝手にしやがれオフィシャルサイトにて
http://www.katteni-shiyagare.com/