TAIJI at THE BONNET

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第2回 佐藤タイジ ×阿部耕作

祝☆TAIJI at THE BONNET 1st アルバム『ROCK STAR WARS』リリース!

この記念すべき、そして歴史的なアルバムのリリースにあたり、佐藤タイジが、バンドメンバー他、様々なアーティストと対談を行うことが決定。

バンドのこと、日本のロック界のこと、この国のことなどを対談形式で語り尽くす!

 

第2回目はTAIJI at THE BONNETのドラマー・阿部耕作さんを迎えての

トークセッション。清志郎さんともバンドを組んでいた阿部さんが語る、佐藤タイジの詞の世界とは?

 

ほぼ同世代メンバーということなので二回目の今日も楽しい話を期待しています。まずはお二人の出逢いから。

タイジ「バクチクの櫻井君のソロの時だよね」

阿部「そうそう。僕が櫻井君のバンドのメンバーだった」

タイジ「そやそや。で、俺は作品で一曲提供して、プロデュースもしてライブもってなって、スタジオに行ったらドラムが阿部君やった。それで阿部君ええなぁって。それからずっとそ、阿部君ええなって思いが頭の中にあって、一緒にやりたいと思ってた。で、今回、今や!って」

阿部「それで誘いの声がかかったのが、僕が下北の440でイベントやってるんだけど、それにタイジに出てもらった時。タイジがリハに来た時に『阿部君○月○日空いてない?』

ってさらりと聞いてきててっきり飲み会だと思って、空いてるよ!って言ったら、バンドの誘いだった」

 

タイジさん、メンバー勧誘のプロですね。

タイジ「まぁね(笑)」

それで、最初にも言いましたが、メンバー5人がほぼ同い年。阿部さん的にこのバンドいかがですか?

阿部「なんか嬉しいんだよね。正確に言えば、ひとつ年齢が違う人もいるわけだけど、まぁ部活みたいです。それと歌詞の面でも、俺達ってシラケ世代だったから何かをモノ申すのをカッコ悪いって思ってたんだけど、この年齢になると言いたいことってあるんだよね。僕らより若い人にしたら凄くオジサン臭いって思うかもしれないけど、それはもうしょうがないって気がするし。このバンドは言いたいこと言えてるよね」

 

今日はそこをタップリ聴きたいんです。震災で福島の原発問題が起きたじゃないですか?でも反原発の歌ってほとんど出てこなかった。チェルノブイリの時はあんなに、反原発を歌ったのに。歌えなかったのか、歌わなかったのか。もちろん、あまりにもたくさんの犠牲者があったし、津波の被害が甚大だったので先ずは復興を歌わなければいけないというものわかるんですが

タイジ「阿部君は清志郎さんのバンドをやっていたからね。まぁあのシャワーをモロに浴びているから。その変は色々思ったことがあるんちゃう?」

阿部「清志郎さんとやったって言っても、LOVE JETSというバンドをある時期2カ月くらいやっただけだから、全部を知っているわけじゃやないんだけど。僕が知ってる範囲で言えば、清志郎さんは自由が好きなんだよ。それを主張して何が悪い!っていうのがあるんだよね。皆が自主規制していることは努めてやらないところがあったね。例えばマネージャーが、今日のイベントはこういうことがあったから、こういうことは出来ない。みたいなことを言ってくると、何で?って必ず聞く。それに納得しても、じゃぁここは?ってまた聞く。ひとつでも納得いかないことがあれば、それを絶対やるの。でも元々反抗してやろうっていうんじゃないんだよね。別に悪いことじゃないよ、これ、っていうのを表現したかったんだよ。今もおんなじ状況。何かに止められているっていうことじゃなくて、皆自主規制しちゃっている。発言してもメディアに載らないんじゃなくて、発言してないからメディアに載ってないだけ。まぁ、(斉藤)和義君のことも似てるよね。あの時、すごく問題になったけど別に大したことじゃない。しかもYouTubeにあげただけだし。何にも問題なかったんだよ。だからいつでも誰でも自由に発言すればよかった。その発言に対してそれを推し進めたい人もいるかもしれないし、反対する人もいるかもしれないけど。皆が言いたいことをハッキリ言わないと、いけないっていうのを今回一番思ったよね。もちろん根本的には俺は、原発に関しては反対だけど、今回はそれ以前の問題だと思う」

タイジ「それを阿部君から聞くとリアリティがある。そうかぁ、清志郎さん、自由が好きやったんやね。俺すごくそれに賛成だよ。それにしても阿部君から聞く清志郎さんとエンケンさん(遠藤賢司)の話ってオモロイなぁ」

阿部「清志郎さんとエンケンさんって、真逆なんだけどね。エンケンさんはホントに真っ直ぐ。清志郎さんはどこか俯瞰で見てるし、ああいうことやってもポップなんだよ。清志郎さんが面白いのは、普段は主張を言わない。でもステージでやる。メッセージをポップソングとして出しちゃうから、あんまり攻撃的にならない。すごく過激なこと歌ってるんだけど、どっか笑っちゃうんだよね。それと根本に愛があるから。『憧れの北朝鮮』とかホントにいい例だよね」

 

 

『憧れの北朝鮮』
http://www.youtube.com/watch?v=byw8VOJHI10

 

 

タイジ「そうだね。自由とか、独立してるとか、そういうニュアンスだよね清志郎さん」

阿部「そうなんだ。独立っていうか自立しているから、音楽活動もドンドン気分が変わって、色んな人とやっていく。そしていい意味で、タイジは清志郎さんと似てるよ」

タイジ「俺、清志郎さんが亡くなってから、トリビュートバンドのギターもやらせてもらったりして、ものスゴイいい曲イッパイあるなぁって。自分で演奏して、何て言うか、清志郎さん逝った後の方が身近に感じてる。そや、ちょっと前に震災後なんやけど、清志郎さんの夢みたんだ。なんかスゴイ新人バンドがおるって聞いて、ライブハウスに偵察に行ったんだ。そしたらステージで相撲取りが土俵入りしてて、その横でYMOが使ってたみたいなシンセを弾いてる奴がおんねん。その二人がバンドで、何だこれ?って思ってたらPAの横に清志郎さんがおって、黙って酒をくれた。一言も言葉は交わしてないんだけど。それで夢が覚めた」

阿部「それ、いい夢だね。しかもその架空の新人バンド、スゲーカッコイイ。アメリカで絶対ウケルよ。相撲取りはバンドで何をしてるの?」

タイジ「土俵入りしてるだけ」

阿部「ダンサー扱いだ!」

タイジ「そう。パフォーマー的な。土俵入りしかしないけど、その二人でバンドなんだよね」

 

シュールだなぁ。でもホントにいい夢ですね。ところで阿部さんはタイジさんが清志郎さんと似てる、ってさっき言ってましたけど。阿部さんから見て、タイジさんが書く詞はどうですか?

阿部「人の書いた詞を評論するような立場じゃないんだけど、詞を書くミュージシャンとイッパイやってきて、思うことは、詞ってその人を表しているんですよ。タイジの詞は、タイジのギターソロと一緒でストレート。だって“100%ソーラー武道館ってそのままじゃん!あれが俺、好きなんだよね。ストレートな感じ。逆に抽象的で詩的な詞を載せて、いい人もいる。でも別にそれは、タイジのが詩的な表現じゃないっていうんじゃなくて。表現の仕方でその人なりのマッチングっていうのがあるっていうこと。俺、タイジってギターリストだし、洋楽を聴いてる人だから詞の部分よりもサウンド部分の方がウエイトが高いと思ってたんだ。でも意外と一緒にやってみて、スゴイ詩的なんだな、と感じた。しかもオリジナルな。シアターも含めて、タイジのやっている詞の部分に反応してる人が多いんだろうな、っていうのもわかったし」

タイジ「俺も実は阿部君とやってみて、ものすごく歌いやすかったんだよね。何でこんなに歌いやすいんだろうな?って思ってみたら、阿部君って歌いながらドラム叩いてんのよ」

阿部「そう。俺歌好きだから」

タイジ「だからものすごく歌いやすいんだよね。ウエノ君と三人でやりだした時、ドラムは恒ちゃん(恒岡章)だったんだけど、恒ちゃんはものすごく真面目なんだけど歌に寄り添うタイプじゃなくて、サウンド型なんだよね。阿部君のは歌に寄り添ってくる。ボーカルの抑揚に対して、当ててくるんで、わぉ!歌いやすい、って思ったし。この人ちゃんと歌を聴いてくれてるんだなって思ったんだ」

阿部「自分のドラムが歌ものに向いてるかはわからないけど、一般論としてドラムと歌はコンビネーションっていうものがある。バンドのボーカルがソロになった時、ドラムだけは呼ぶんだよね。リンゴ・スターがそうでしょ。ビートルズのメンバーの全員のソロに参加している」

タイジ「ほんまや!でもそれものすごくわかる」

阿部「そうなんだ。なんかあるんだ。でもそれは上手い下手じゃなくてね」

タイジ「なんかやりにくいとか、やりやすいってあるんだよ。阿部君のドラムが歌いやすいかどうか、って知ってて呼んだわけじゃないんだけど、阿部君のドラムはすごい歌いやすいっていうのが歌ってみてわかった。俺の直感あたってたね」

阿部「そう言ってもらえるのは、ドラマーとしては最高の褒め言葉。ドラマーってサイドマンだと思ってるから。お客さんに向けてというよりは、バンド内の人に向けてやってるんだ。だから一緒にやってる人がいいって言ってくれるのが一番嬉しいんだよね。まぁだからいいバンドには、いいドラマーがいるし」

タイジ「というか、いいドラマーがいればいいバンドになる」

 

でも今回は本当に素晴らしい廻りあわせですね。というのも、TAIJI at THE BONNETのニューアルバム『ROCK STAR WARS』ではそこに書かれたメッセージを伝えるのは、とっても大事なことなハズです。だからタイジさんの歌が輝いているのは、このアルバムのマスト条件だと思うので」

タイジ「そやね」

阿部「っていうか、短期間であれ全部作ったんでしょ?その溢れだし方、スゴイよ。レコーディングの時は言わなかったんだけど、ホントにすごいと思う。タイジは他にも活動してるしでしょ。しかも、ただ演奏するだけならキャリアを積んでれば短時間でもできる。アレンジぐらいまではできる。でも、曲・詞を書くっていうのは大変」

タイジ「今回はバンバン出たよ。危機だから。個人レベルじゃなくて全体的な危機だから、バンバン出てきた。下北でLive for Nipponっていう支援コンサートをすぐに立ち上げたんだけど、それに対してこんな時に音楽を鳴らしていいのか?っていうのも耳にしたんだ。でも俺は震災の時、何かせにゃあかんやろ!同じ人間として!って思った。最初はそれなんだ。それで何ができるか?って言ったら、結局我々は音楽しかできないんだよ。それならそれをやるしかない。もし音楽だけのことで考えたら、今は音楽はいらんやろ!っていうのはあったかもしれんけど。何かせにゃあかん!っていうところから入ったら、やれることをやるしかない。ロックバンドとしてはバシッと出すもの出すしかないでしょ」

 

そういうことを批判する声も確かにあります。それはそれで考えだと思います。ただ、僕は個人的にはやっぱり日本という国で初めてロックが本当に必要とされているんだと思います。アメリカでロックが一番機能したのが、ベトナム戦争の時のフラワームーブメント。ロンドンでパンクが生まれたのは、経済が困難だった時。日本は戦後ずっと平和だった。だからロックはそこにあったけれど、本来の機能を果たす状況がなかった。震災は本当に悲しい出来事でしかないんだけれど、やっぱりロックということで言えば、今初めて日本でソウルミュージックとしてロックが鳴っている気がします。

タイジ「そやね。ホントにそう思う。震災があって、日本に生まれて育った意味がわかった気がした。この大惨事を何とか日本の明るい未来の分岐点にしないといけない。人生を賭けてやるべきことができたと思っている」

 

詞の話に戻るんですが。歌詞の検閲はレーベルからなかったのですか?

タイジ「何にも直せって言われてない。正直これ大丈夫かな?っていうのはあったんだけど、それは有難いなぁって思ってる」

 

バンド内で詞に対してのディスカッションは?

タイジ「ゴメン、全くしてへん」

阿部「でも、詞はかなり個人的なものだから。仮にタイジが原発推進派だとして、それに想いがあって、それを歌うならば僕はそれを受け入れます。むしろ皆がそうすべき。それに対して反対ならば、反対の歌を歌えばいいし。それが自由だと思う」

タイジ「次回作は阿部君も詞を書いて欲しいな」

阿部「その技術がないから自信はないけど、言いたいことはあるな」

タイジ「シアターをものすごくエゴイスティックに進めてきて、自分が思う演奏ができないヤツは首だ!ってやってきた。でも今は、皆で書いた曲を皆で演奏したいな、って思ってる。阿部君の書いた曲でギターソロとか弾きたいな。阿部君は絶対できるから!」

阿部「受け入れてくれる場所があるなら、トライしてみようかなと思うよ」

タイジ「絶対やるべき」

阿部「わかった」

タイジ「もちろん、歌もだよ」

阿部「え?」

タイジ「当たり前だよ。書いた人が歌うのが一番伝わる。ドンヘンリーやリボンヘルムばりに」

阿部「確かにザ・バンドみたいのカッコいい。じゃぁ、ザ・バンドみたいに皆セカンドインスタルメンツ持ってやるっていうのどう?」

タイジ「俺、シンセやりたい!」

 

ライブで楽器シャッフルってどうですか?

タイジ「それいいなぁ、楽しそう」

 

観ている側も楽しいですよ。これが新人バンドだとシャッフルしてもわからない。でもこのメンバーはそれぞれの楽器のエクスパートが揃ったバンドだから、観ていて本当に面白いと思う。

タイジ「ようこちゃんドラム叩く!みたいな」

阿部「自分の本職じゃないところにいくと、自由になれるんだよね。本職は職業としてやってきてるから、どうしてもポイントを押さえようとしちゃう。そういうのがないと、自由に発想できるから面白い。だからドラムのアイデアが出ない時は、他のパートの人に聞いたほうが思いつかなかったことがでてきたりすることがある」

タイジ「それをこのバンドでやったら最高やね。笑えることも増えるし、音に角度が広がるし」

 

実はそれ、音楽だけではなくて、文学にもあるんです。エクソフォニーって言うんですが、要は母国語以外の言語で文章を書くということなんです。例えば、イギリス人が英語じゃなくてフランス語で小説を書く。そうすると表現が変わるので、発想法が変わる。しかも自国語だとどうしても正しい表現に固執しすぎてしまうんですが、母国語じゃない言葉で書くと、細かいことは気にせず、大胆に書けるんです。

タイジ「へぇー、それ、オモロイね。絶対楽器シャッフルやろう!俺シンセ!!!」

 

で、その楽器シャッフルで、どの楽器をやるかで揉めて解散したら面白いですね。

阿部「それ、スゲー本末転倒だなぁ。セカンドインスタルメンツ決めで揉めて解散!」

タイジ「完全にアホやね。やっぱりロックンローラーは大人になれない。まぁ、冗談はともかくライブ楽しみやね。最初に戻るけど、皆同世代でホントに部活みたいだから。しかも奥野がまたいい味出したんねん」

阿部「奥野君のツイッター見たことある?本当にクダラナイことばっかり書いて。ヒドイよ、あれ(笑)。数日前にも歯医者の話書いてた」

タイジ「歯医者の話、ナニそれ?」

阿部「本人に聞いてみて」

タイジ「了解。次回は奥野君となんで」

阿部「それ、面白そうだな。俺もまた来ようかなぁ」

 

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